ユーロ/円相場は、98円台まで値位置を切り下げる展開になっている。引き続き欧州債務問題を巡る混乱状況が続く中、6月1日には一時95.60円までのユーロ安・円高になった。ただ、今週は欧州債売りの動きが一服していることもあり、ユーロに対しても短期筋のショートカバーが入っていることが、ユーロ/円相場の下値をサポートしている。
6月6日には欧州中央銀行(ECB)理事会が控えているが、政策金利は現行の1.00%で据え置きとの見方がコンセンサスになっている。政策対応を求める声も強くなっており、長期資金供給オペなどの追加緩和策についての議論が進展する可能性はある。ただ、17日にギリシャ再選挙という大きなイベントを控える中、敢えて今月の会合で大きな政策変更を行う必要性は乏しい。現段階では、7月の追加緩和策導入がメインシナリオと考えている。日銀も緩和スタンスを強めているが、まだ利下げカードを残したECBとの比較では、金融政策環境からユーロ買い・円売りを進めるのは難しいだろう。
今月中旬はギリシャの選挙結果次第の不安定な相場環境にあるが、ギリシャ以外でもスペインの財政懸念がクローズアップされるなど、ユーロ売りの材料は数多い。現段階では流動性環境などに特段の混乱は見られないが、債務危機が金融危機としての性格も強める中、先行きを楽観視できるシナリオを描くのは難しい。短期的な売られ過ぎ感からユーロが一時的に修正高となるリスクまでは否定できないが、戻り売り基調を崩すのは難しいだろう。このまま欧州債売りの動きに歯止めが掛からなければ、ユーロの下値切り下げ傾向に変化はないとみている。
今後1週間の予想レンジは、95.00~99.50円。